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◆在庫評価と売上原価
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決算にあたっては、期末在庫の評価と売上原価の算定を行います。
在庫の評価と売上原価の算定は表裏一体の関係にあります。これは、期中に購入した商品(又は製造した製品)の取得価額を期末在庫と売上原価に分けるためです。
売上原価の計算は、一般に次の算式で示されます。
売上原価の計算式
商品売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 − 期末商品棚卸高
製品売上原価 = 期首製品棚卸高 + 当期製品製造原価 − 期末製品棚卸高
期首商品棚卸高と当期商品仕入高は、前期の帳簿と期中の購入の記録から明らかですから、決算の作業で期末商品棚卸高を算定することで、売上原価の額が求められます。
期末商品棚卸高の算定にあたっては、期末の商品の実在庫数と、各商品の単価を算定することが必要です。特に、期末の商品の実在庫数を把握するための作業として実地棚卸が欠かせません。
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◆実地棚卸とは
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棚卸資産の管理で非常に重要な手続が実地棚卸です。
実地棚卸とは、棚卸資産の在庫数を実際に数えることをいいます。会社の全ての在庫を数えるのは非常に時間のかかる作業です。通常は、決算日の営業終了後に棚卸を実施します。
実地棚卸では、単に品目ごとの在庫数をカウントするだけでなく、保管中の破損等で不良品になっているものがないかどうか、長期間出荷されず滞留している在庫がないかどうかも併せてチェックします。
このような実地棚卸を実施する目的は、決算日における在庫金額を確定することにあります。商品元帳で把握している理論上の在庫量と実際に数えた在庫量との間に不一致があることは珍しくありません。
このような不一致が発生した場合には、商品元帳の数字を実際の数字に訂正します。
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◆実地棚卸の手順
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実地棚卸を実施するためには、事前に入念な計画を立てることが必要です。
まず、実地棚卸を実施する日時を決定します。その上で、倉庫を区分けし、棚卸担当者を割り振ります。さらに、実地棚卸を実施する上での注意点をまとめた説明書を作成し、これらを社内に配布します。
棚卸当日が近づいてきたら、倉庫の整理に努めます。在庫が倉庫内のあちらこちらに点在しているようでは数え間違いも起こりやすいため、同じ商品はできるだけ一箇所に集めます。
棚卸当日には、検収の済んでいない在庫は別に把握し、在庫から除外されるディスプレイ用品などには「棚卸除外品」などと表示しておきましょう。
棚卸の各担当者が実際に数量をカウントした際、その結果を記録する棚卸票などを準備します。棚卸票は事前に準備したものがすべて回収できるように、あらかじめ連番を付して管理します。
すべての在庫のカウントが終わり、棚卸票を回収し終わったところで棚卸は終了です。
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◆棚卸の結果を検証する
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実地棚卸によって判明した実在庫数と帳簿上把握している在庫数との間に不一致が生じることがあります。
この場合、そのような不一致が生じた原因を分析することが必要です。
例えば次のようなことが原因として考えられます。
・在庫受け入れ時の計上が漏れた
・在庫払い出し時の計上が漏れた
・在庫受け入れ時の単位が間違っていた
・在庫払い出し時の単位が間違っていた
・在庫受け入れ時の品番が間違っていた
・在庫払い出し時の品番が間違っていた
・見本品等としての在庫払い出しが未認識
・万引き等
上記の原因のうち、在庫の受け払い時の計上誤りについては、帳簿記録を正しく修正することが必要です。
しかし、万引き等によって在庫を失った場合には、原因が判明しません。この場合には、帳簿記録を実在庫数に合わせます。多くは実在庫数が帳簿に記録されている在庫数よりも少ないため、経理上は「棚卸減耗損」を計上することになります。
また、滞留在庫や陳腐化品については、時価が帳簿価額を著しく下回った場合に、損失を計上して帳簿価額を引下げる処理を行います。
これを「強制評価減」といいます。
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◆棚卸資産の評価基準
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棚卸資産の評価基準として、「原価基準」と「低価基準」の2つがあります。
「原価基準」とは、期末時点で保有する在庫を取得原価で評価する方法をいいます。この場合、期末時点で保有する在庫について、取得時から値下がりしていたとしても、当該値下がりについて損失を計上することはありません。
一方、「低価基準」とは、取得原価と期末時点での時価とを比較して、いずれか低い方の価額で在庫を評価する方法をいいます。在庫の価値が取得時よりも下がっているのであれば、早期に値下がり損失を認識して、低い評価額を付する方が保守的で望ましいという考えに基づくものです。
評価基準については、どちらを選択するかは会社の任意です。ただし、一旦採用した評価基準をいたずらに変更することはできません。
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◆棚卸資産の評価方法
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棚卸資産の評価方法とは、決算日までに取得した棚卸資産を、期中の売上に対応する費用と期末の在庫に対応する資産とにどのように配分するかの取り決めのことをいいます。
棚卸資産の評価方法としては、次の6種類が挙げられます。
(棚卸資産の評価方法)
(1)個別法
棚卸資産の取得原価を異にするに従い区別して記録し、その個々の実際原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法です。
宝石のような商品の個性が個別に認識される場合の評価方法として採用されます。
(2)先入先出法
最も古くから取得されたものから払い出しが行われ、期末棚卸資産は最も新しく取得されたものからなるものとみなして期末棚卸資産の価額を算定する方法です。
実際の商品の払い出しは先入先出になることが多いため、実態に最も近い評価方法といえるでしょう。
(3)後入先出法
最も新しく取得されたものから払い出しが行われ、期末棚卸資産は最も古く取得されたものからなるものとみなして期末棚卸資産の価額を算定する方法です。
実際には採用されている例がほとんどありません。
(4)平均原価法
取得した棚卸資産の平均原価を算出し、この平均原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法です。
平均法には、期首の在庫と期中の受入高の加重平均単価を用いて計算する総平均法と、在庫受け入れの都度、加重平均単価を計算しなおす移動平均法の2種類があります。
先入先出法の場合、期中に払い出した商品の原価が計算できませんが、平均原価法(移動平均法)であればそのつど計算できるというメリットがあります。
(5)売価還元原価法
異なる品目の資産を値入率の類似性に従って適当なグループにまとめ、1グループに属する期末棚卸資産の売価合計額に原価率を適用して期末棚卸資産の価額を算定する方法です。
スーパーマーケットやホームセンターなど小売業で採用されている方法です。
棚卸資産の評価方法は、期末の棚卸資産の評価額を算定するための一定の仮定です。実際に商品が先入先出の方法によって払い出されているかどうかは関係ありません。
会社は任意の評価方法を選択できますが、一旦採用した評価方法はいたずらにこれを変更することはできません。
また、実務上は「最終仕入原価法」という方法も頻繁に用いられます。これは、期末に最も近い時点の仕入時の単価を用いて期末棚卸資産の評価額を算定する方法です。最終仕入原価法は会計上の正しい評価方法として認められていませんが、税法で認められているため、この方法を採用している中小企業は非常に多いようです。計算も簡単ですし、実務上の感覚にも合致しています。
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◆在庫の評価額をチェックする
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棚卸によって、在庫の状況を把握しますが、その際に滞留在庫については、今後の処分方針を現場に確かめる必要があります。
販売が困難と見込まれる在庫については、評価減など経理上の処理を施さなくてはならないからです。
しかし、在庫の管理責任者は販売不可能な不良在庫を抱えた責任を明らかにしたがらず、甘い販売見通しを報告する傾向にあります。
経理部門で滞留在庫の販売見込を厳しくチェックすることが必要です。
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